人のわろき事は よくよく見ゆるなり
わが身のわろき事は おぼえざるものなり
『蓮如上人御一代記聞書』
価値観の多様化で、いまでは非婚主義の人も少なくないようだ。
だが結婚といえば昔も今もそれなりに、
いろいろと面倒なことが絶えないだろう。
核家族化によって、これまでの嫁・姑などの
人間関係の煩わしい部分は解放されたかも知れないが、
逆に離婚率のアップには、いやでも考え込まされてしまう。
先人の鋭く深い言葉を想起する。
ある人がわが娘の縁談を相談したとき、
師は、「あんたの予想するもろもろの煩わしさが
何一つなかったとしても、難関はあるぞ」。
言われてそれが何かをたずねたら、
言下に「相手が居るぞ」と一喝されたという。
このことはその実、“最大の難関は自分だ„
という公案にちがいない。
2003年10月19日
(前住職)