本当の宗教というのは 神も仏もないのかと
思ったところから 出発するものじゃないか
遠藤周作『私にとって神とは』
標記の告白をめぐって著書は、「私に子どもがいて、それが癌(がん)にかかったとすると〈神様、お願いします、助けてください〉と、親だから当然 祈ります。にもかかわらず死んでしまったら、奇跡も何もないじゃないか、神も仏もないじゃないかと思うでしょう。でも、そういうところから本当に宗教が始まるんではないでしょうか」―。
宗教とか信仰とかいえば、人間が人間以外の何かに頼り、願いごとのかなえられることを祈る行為と思いがちだが、自分の想(おも)い描いた仏や神に期待するイメージ信仰の崩壊こそ、真に宗教することの出発点だという。
年末・年始はまた多くの人が神社・仏閣に詣でるが、神前で、仏前で、一度これを自問してこそ意味があろう。
2003年12月14日
前住職