天上天下唯我独尊

天上天下(てんげ)に 唯我独りにして 尊し

                       大蔵経24

 

 現今の生命科学の発達には、すさまじいものがある。

だが、それによって「生命」とは何かが解きあかされたであろうか。

 否、遺伝子が解明されても、それは物理的化学的生命現象の

メカニズムの謎解きであって、生命の本質に関する疑問は、

むしろ増幅しているといえよう。

 現にバイオテクノロジー(生命技術)の進展が、

多くの疑問と不安をいだかせていることは、

生命とは何かという、

人間の本質的な問いと向きあうことへの促しといえないか。

 4月8日は釈迦の誕生の日(花まつり)だ。

標記の言葉が語る生命の尊厳、

生命の輝きはどこから来るのだろうか。

 わたしたちにとって生命の本質を問うことは、

思想的・宗教的な問いとして、

「基本的人権」の原点を透明化する問いだ。

 2003年4月6日

前住職

                       

 

 

 

This entry was posted in 池田勇諦(前住職)の話. Bookmark the permalink.