いくたびか さだめしことの かわるらん
たのむまじきは こころなりけり
蓮如『和歌』
昨年の自爆テロの事件からも“宗教はこわい„の風評を耳にする。
だが、絶対なるもののまえで自己を正当化する過ちこそ、問い返されねばならない。
作家の高史明氏は「自分が正義であり、自分以外の空間がすべて敵であるというような発想、そういう戦争を繰り返してきたのは善人意識だ。『歎異抄』でいえば、深い意味での悪人の自覚が欠如し、それが繰り返し、繰り返し戦争を引き起こしている。戦争はかならず自己が正当化される」。
この指摘からも、正しい宗教のありかたは、自己と社会の相対化にある。
つまり自己と社会のありのままを知見していく究極的な慧眼の獲得なのだ。
蓮如のこの一首にその見識を聞く。
2002年4月7日