「祇園」

 

 昔インドのコーサラ国にスダッタという大金持ちが住んでいました。スダッタは驕ることなく貧しい人たちに施しをしていました。なので「孤独なる者に食事を施す(給孤独)長者」と呼ばれていました。ある時彼は隣国でお釈迦さまのお説法を聞き その深遠なる教えに大変感激し 是非自分の住むコーサラ国へ来ていただき 皆に法を説いて欲しいと願ったのです。

 多くの人がお釈迦さまの説法を聞くには広大な場所が必要でした。国中を探しその条件を満たす土地を見つけました。でもその場所はコーサラ国のジェーダ王子が所有する自然公園でした。そこでスダッタはジェーダ王子に「お金はいくらかかってもかまいません。どうかあの公園をおゆずり下さい」とお願いしました。

すると王子は言います。

「そんなにあの土地が欲しいなら お前の持っている金貨を敷きつめた分だけ分けてやろう」

 

 するとスダッタは全財産を投げ打って 自分の服や家まで売ってしまい そのすべてを公園にそれらを敷きつめていきました。もちろんそれでも全然足りませんでした。しかしその様子を見たジェーダ王子は「これはただごとではない。ここまでさせるお釈迦さまとはそれほど偉大な方なのか。」王子はすっかり感服し 無料で土地を提供し ついに広大な精舎(しょうじゃ)が完成したのでした。

 

 この精舎は「スダッタ(給孤独) 長者とジェータ(祇陀)王子の森に建てた」という意味で「祇樹給孤独園精舎」と呼ばれるようになりました。これが『平家物語』で有名な「祇園精舎」です。

(FB転写)

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