人間を そして 自己を学べ 

大学時代の先輩から、「この言葉を紹介してください」と連絡がありました。

ご紹介します(住職)

 

人間を そして 自己を学べ           廣瀬杲

 

私自身の六十年余の歳月の途上に、ときとして暗く、ときとして悲しく、また耐
え難いほどの苦しみに覆われるようなことがあったとしても、そうした 生き様
を顧みて、そのいのちの営みのすべてを、悔いなきものと言い切れるという、身
に覚えのある頷きを、私は、南無阿弥陀仏という一句の言葉との 出会いにおい
て得ることができた。
それは、生きていくということは、生まれてきたことの意味を問われつづけるこ
とであり、そして、ただ一つのこころの眼がひらけ、ただ一つのこころ の耳が
あかるくなるとき、その問いに答えることのできる自分自身を発見することがで
きる、ということであった。

そして、このような自分になると き、人生には意味ということがないことを証されたのである。

たとえば、悲しみをじっと見つめていると、その悲しみが新しい人生の深さを教えてく れる。また悩みのただ中にあって、じっと耳を傾けると、もっと逞しい人になれという愛にみちた励ましの声を、そこに聞きとることができる。そし て、こうした悲しみや悩みによって、つねに私は、古い自分に死に、新しい自分へと再生していくのである。

(2013/02/02)

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