「いのち」より大切なもの?

今 いのちが あなたを生きている

                      『同朋新聞』                         

 

 この標語はわたしたちの日常的感覚からは、とても発想できない。せいぜい“わたしが今、いのちを生きている„程度か。

わたしがこの言葉から想起したのは、星野富弘氏の次の詩句であった。

いのちが一番大切だと思っていたころ

生きるのが苦しかった

いのちより大切なものがあると知った日

生きているのがうれしかった

 

 「いのち」といえば、この心臓の鼓動に象徴される現前のいのちだ。彼は「いのちより大切なもの」が、と言う。

とんでもない、と言いたいところだが、事実は、現前のいのちが何より大切であればこそ、このいのちを真に生き生きとさせるもの、それとの出遇いが人生最要の課題だと告げているのではないか。

2006年3月19日

前住職

 

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