宗教は人生の目的であって、手段ではない

宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、

教育上これを尊重しなければならない

                『教育基本法』第九条前項

 

 最近、宗教教育の必要性の提言をよく聞く。中には「現在の学校教育の場では直ちにはむつかしい面もあろうから、まず生涯学習の場、公民館活動で取り上げていきたい」との提案もある。

 戦後60年の日本の教育は、それまでの宗教政策の()()の事情を引きずって、学校教育の現場から知識としての宗教すら排除し、結果、正しい宗教観はおろか、宗教心の何たるかをも不明にしてしまった。標記の条文がまったく無視されてきたのだ。

 しかし宗教教育を考える場合、決して忘れてならぬことは

「宗教は人生の目的であって、手段ではない」ことだ。もし宗教が倫理や道徳や秩序のためにあるのなら、それこそ「宗教はアヘン」でしかないだろう。「目的」性を自問したい。

2005年6月5日

(前住職)

 

                       

 

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