汝の欲するものは何か?

 

お前さん いま何が 一番ほしい     相田みつを『にんげんだもの』

標記の詩は作者の多くの誌の中で、

わたくしのもっとも憶念する一句である。
「お前さん いま何が 一番ほしい あれもこれもじゃ だめだよ

いのちがけで ほしいものを ただ一つに 的をしぼって 言ってみな」

“汝の欲するものは何か„と問われているのだ。

さっと返事ができそうに思ったが、それができない。

それもそのはず、すぐに言える返事なら、

「あれもこれも」のレベルだからだ。

すでに「じゃだめだよ」と釘をさされている。

「いのちがけで ほしいもの」を言われたら、

もはやお手あげだ。自分のことでありながら、自分でわからない。

わたしにさきだって、“これでないか„と言いあてている真実の言葉に

出遇うほかはない。

年頭に改めて自問したい。

2005年1月16日

(前住職)

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