日本よ オレの国よ オレにはお前が見えない
竹内浩三『日本が見えない』
「戦死やあわれ」と悲しみうたい、二十三歳で戦死した詩人・竹内浩三の
作品集が、いましずかに注目されているようだ。
昨年(2001年)の9・11テロに対する報復攻撃や、
現在の中東におけるテロの連鎖反応を見ていると、
怨念という人間の無底の闇のすさまじさに戦慄する。
しかもそこに何としてもゆるされないことは、
多くの無辜の戦死者を出していることだ。
アメリカをはじめ各当事国の為政者には、敵のみならず、
何よりも他者の目に映る自国のすがたが見えていないとしか、
思われてならない。
ひるがえってわたしたちは、
日本がはたして見えているだろうか。
このことばを自問することから出発したい。8・15。
2002年8月25日
前住職