元は本なり一なり天なり天地の大徳なり
万物を育成する徳
旦はよあけあけがたあかつき
諸橋『大漢和辞典』
一月一日をなぜ「元旦」とよぶのか。
辞書によれば標記の字義が見られる。
つまり「元」はすべての存在の成立根拠を指し、
「旦」は太陽が地平線にのぼる象形文字で、「始」を意味する。
ならば、「旦」は一月一日をよぶにふさわしい。
だが、単に一年の始めの日というだけなら、
「旦日」でも「始日」でもよい。
「元旦」とよぶところには、「始」は「最初」にのみ言えることで、
始まってしまえば「始」とはいわないのに対し、
「元」は一月一日から365日通してあるもののことだ。
つまり一年の始中終を貫いて一年を成り立たせているもの、
「万物を育成する徳」を、年の始めに改めて自覚すること。
元旦の仏事式(修正会)の意味をかみしめたい。
2004年1月11日
(「今週の言葉」より)