中日新聞 〈人生のページ〉 ⑩

 

大きな恩恵に対しては、恩知らずの振舞いに

出ないひとはまずいない。

                        高光大船

 

このことばは、「たいていのひとびとは、小さな義理を返したがる。多くのひとたちが、中くらいの義理に対しては感謝の念をいだくが」、に続いて語られたものである。

いまや世界の経済大国・日本のわたしたちの生活は、すべてをお金ではかり、お金で処理をする経済至上の感覚が身のすみずみにまで染みこんでいる。

自然破壊・環境破壊による今日の経済的繁栄が、いつのまにか人間破壊にまでおよんだことは、お金で買えないものが見えなくなったことに象徴的だ。「じこちゅう」の生活空間が。

実は、わたしたちが生きるうえで大事なものほどお金で買えない。いのちが、愛情が、水が、空気が・・・・・・

2002年11月17日

 

 

 

 

 

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