「社員の皆様へ」メール(64)

(2020/07/02)熊田光男さん

社員の皆様へ

 今週のはじめ、84歳の母親が、失業中の59歳の息子の首を絞めて、

 殺害するという、痛ましい事件が起きました。

 仕事を巡り口論が絶えなかったとのことです…

 この親子の59年間の歩みは、どのようなものだったのでしょうか…

 コロナ不況において、心に余裕が無くなってきている今だからこそ、

 『支えるもの』と『支えられるもの』が、

 何かを見つけ出さないと、いけないのかもしれませんね…

 詩集『支えられる側が支えられ生かされて行く』(弊社刊)より。

++++++++++++++++++++++++++++++++++

「母からの手紙」

 母に会えない週末には、認知症の母への 手紙を書いた

 お元気ですか で始まり 寂しくないかと付け加え

 元気でねと 母へ手紙を書いた

 言葉のない母は その手紙を 口にくわえてしゃぶると聞いた

 手紙は 読むものと思っていたが そんな味わい方もあるものだと

 いつも よだれを流しながら 私を見つめる母を 思い浮かべた

 やっと 時間ができて 熊本の老人ホームに母を訪ね その手紙を 母に読んであげる

 これじゃ 手紙の意味がないじゃないか 

 言葉のない老人と ろくでもない者が向き合って

 その足りない部分を 埋め合って生きている

 一人の静かな夜 母からの手紙が届く

 文字のない無言の紙も 字もない手紙が届く

 いつものように お元気ですかも

 寂しくないかの 付け加えもなく

 元気でねと どこにも書いていない

 母からの手紙が届く

 「その自分を生き抜け」と

 私の心の中に届く

 私の心に響く

++++++++++++++++++++++++++++++++++

“向き合って その足りない部分を 埋め合って生きている”

 詩集『支えられる側が支えられ生かされて行く』

 この詩集の題名に、

 全ての答えが、あるのかもしれませんね…

 

 

This entry was posted in 門徒の声. Bookmark the permalink.