「社員の皆様へ」メール(55)

ほぼ毎日、社員の皆さんに社長さんがメッセージを

送り続けておられます。

(2018年1月24日 熊田光男さんメール)

社員の皆様へ

一昨日、〇〇会社の告別式に参加しました…

最後の花を手向ける親族を前にして、ひそひそと仕事の話を投げかけられ、

「こんな時に…」と感じながら、

答えるのを躊躇したので、露骨にわかるくらい小さな声で答えてやりました。

こんな時には、芥川賞受賞作、滝口悠生の「死んでいない者」を思い出します。

私たち「死んでいない者」は、『死』を目の前にして、

『生』を感じるという、大切な時間を、

この葬儀から、いただいていると考えるべきではないでしょうか…

作家、五木寛之のベストセラーエッセイに、「大河の一滴」があります。

五木寛之は、このタイトルに、「生と死」「いのち」の意味を込めています。

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われわれは、「大河の一滴」として流れ下っていく。

その生命の海にもどった“いのち”は、

太陽の光に熱せられて、海水が蒸発して、水蒸気として空にのぼるように、

われわれの“いのち”も空にのぼっていく。

そして、今度は雲となり、それが霧となり、雨となり、

雪となって地上に降り注ぐ。

木の葉を潤し、森を潤し、山の峠に積もる。

それが溶けて、地面に滲みこんで小さな流れになり、渓流になり、

そして、工場用水に使われるか、それとも水田を潤すか、それはわかりません。

でも、いろんな形で使われていく。

われわれは、生きて一所懸命働いて、

“こころ”も疲れるけど、“からだ”も疲れる。

と同時に“いのち”も疲れてくる。

疲れた“いのち”は最後には、汚れた水も、きれいな水も、

全部ひとしなみに大河に流れて、

大河と一緒に、ずっとまた海へ戻って吸い込まれていく。

それで疲れた“こころ”と“からだ”と“いのち”を海で癒して、

また海の中から、いずれ太陽の光に熱せられて

蒸発していくわけですね。

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「死んでいない」私たちは、

“いのち”を感じ、

もう少し謙虚に、

生きるべきなのかもしれませんね。

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