(2015/04/02 西恩寺門徒会、熊田光男さんメール転写)
社員の皆様へ
大胡田誠氏の「全盲の僕が弁護士になった理由」(日経BP社)という本があります。
これは、12歳のときに視力を奪われ、全盲になった大胡田氏が、
司法試験という大変困難な挑戦を行い、5度目に念願の弁護士となり、
日々、どのような心で、どのように仕事をしているか、
著者の率直な気持ちが書かれた本です。
本のサブタイトルには、
『「だから無理」ではなく、「じゃあどうする」の方が面白い』と書かれています。
全盲の方が告げる、この言葉の深さには、頭が下がりますし、
五体満足でいる私が、日々のように、
「無理、無理」といっているのが恥ずかしく思えますね…
大胡田氏は、母親から、素晴らしいメッセージをもらっていたそうです。
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大学4年生の頃から本格的に勉強を始めて、
最終的に合格したのが29歳でした。
足掛け9年の長い受験生活でした。
最初に、半ば様子見で受験してみたら、
点字だと、時間がかかって問題文すら最後まで読めなくて、
本当に、大変な試験を目指してしまったことを痛感しましたね。
3年間は、ほとんど山ごもりのように、朝から晩まで、
ずっと勉強ばかりしていました。
いま振り返っても辛い時期でした。
でも、どんなに大変な時でも、勉強さえ続けていれば
いつか受かるだろうという、根拠のない自信があったんです。
それでも、4回目の受験で失敗した時には、かなり落ち込みました。
このまま受験を続けるべきかどうか、随分迷ったんですが、その時に母が、
「迷った時には、自分の心が温かいと、感じるほうを選びなさい」
って言ってくれたんですよ。
母は5年半ほど前に亡くなって、結局、
その真意を直接聞く機会は、ありませんでした。
けれどもいまになって思うと、
何か迷っている時には、損か得かとか、
人からどう思われるか、とかいうことじゃなくて、
自分の心が求めているものに、素直に従いなさいと、
言ってくれたんじゃないかと思うんです。
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『心が温かい』と、感じるほうを選ぶ。自分の心に素直になる。
すごく心に伝わる表現ですね。