「真宗」仏事の伝統と創造
―はじめに―
・どうして法事をつとめるのでしょうか? なぜお参りをされるのでしょうか?・・・・・・
・その仏事(法事)に対して、どういう「心」で、かかわっているのでしょうか?・・・・・
・ 亡き人へのほんとうの「供養」とは、どういうことでしょうか。・・・・・・
そんなことを、改めて問い直してみたいと思います。
大切なことを伝統しながら、その意味や、願いを僧侶も、門徒の皆さんも深く確かめないまま仏事を行ってきたのではないでしょうか。「昔からやっているから、先祖代々そうするものと決まっている」。そのことが、現在では法事、葬儀をはじめあらゆる伝統してきた大切なことが、その意味や、願いがわからないから、「面倒なことは、やめておく」という気分が優先していくのでしょうか。もちろん、経済的に多大な負担がかかるということも大きいと思います。そこは、寺院とよく相談していただくところです。
○そもそも「浄土真宗」における仏事(法事)とは何でしょうか?どんなことが願われているのでしょうか。
―「真宗」仏事での儀式は、「念仏申す」ことが形になっています。どんな形でお勤めをしても念仏を称えます。-仏事を行うという形で、「念仏申す」ことが願われています。「念仏申す」とは、この私が、「教え」に遇うことです。―教えに出遇うとは、驚きであり、発見であります。「気づき・目醒め・出遇い」をいただくことであります。自分の生き方が、問われることを通して、自己への深い納得をいただきつつ、「安心と生きる力」を賜っていく生き方です。その生き方が、実は亡き人と新たに出会い直しをいただいていく道であり、亡き人への供養(亡き人の願いに応えること)になるのではないかと思います。
○法事・葬儀(通夜)について(具体的に、自坊ではどんな形でお勤めをしているか。)
○浄土真宗において大切にされ、伝統されてきた仏事が「報恩講」です。
《報恩講は、親鸞聖人のご法事です。親鸞さまが生涯をかけてあきらかにしていただいた教えを聞き「ありがとうございます」と感謝するのが報恩講のおつとめです。それは、私たちが日ごろ考えたこもないような「いのちの意味」を教えてくださった方が親鸞さまです》。 (「ほとけの子」報恩講より)
新しい仏事の創造
生老病死する「人生」を軸にして、その節目、節目を「つながり」をもって「いのちの意味」「生きることの意味」を尋ねる「仏事」を「創造」していけないでしょうか。
◎誕生から還浄(命終)までを手を合わせ、お参りいたしませんか (提案)
○仏前初参式(初参りー子どもさんの誕生)
○仏前誕生会(毎年一度の誕生日参り)
○仏前「七五三参り」
○寺院こども会のお参り―報恩講 ・夏休みの寺子屋 ・冬休み行事
○仏前入学参り ○仏前卒業参り ○仏前成人式
○帰敬式(おかみそり)
○仏前結婚式
○葬儀式(本堂にて)
○(仮称) 仏前「厄年」参り―転悪成徳会
私たちは苦しみや、悩みを排除したら、幸せになると考えています。嫌なこと(厄)を避け、できるだけ思い通りになることを願っています。なるべく問題が起こらないように、神仏にお参りもしています。その都度、うまく問題を処理し、世渡りをしています。仮に、うまく無難に生きて、世渡りしていく人生は、どこへ向かうのでしょうか。自己の都合を中心として、善いことは受け入れ、嫌なことは避けて生きる人生は、それで本当によいのでしょうか?
そういう生き方に終始していくとき、何か空しさや、さびしさを根本に抱えて生きてしまうのではないでしょうか。 人は、「生まれてきたこと」への「深い納得」をさがし求め続けているのではないでしょうか。
だれもが、苦悩には、できるだけ会いたくありません。しかし、避けられない、悲しみ、苦しみがあります。
仏法は、「苦悩は自分の生き方を立ち止まらせ、見直しのご縁」だと呼びかけています。それは、「人生観・幸福観」が問われることを通して、本当に私が願っていることを問い尋ね、深い人生の意味を明らかにしていく契機になると教えられています。悲しみ、苦しみを抱えながら、歩む道を教えられていくことでしょう。
仏法の先人は、「苦悩は宝」であり、「悩みは大事である」と言われます。
「厄年」という時期に、今一度、「人生」を尋ね、手を合わせ、自分と向き合うような仏事(語り合い)をしませんか?
○(仮称)仏前「還暦」参り―報恩会
・「古希」参り ・「喜寿」参り ・「傘寿」参り ・「米寿」参り ・「卒寿」参り ・「白寿」参り
○月命日参り ○彼岸会 ○永代経法要 ○お盆会(歓喜会)
○その他
・連れ合いを亡くされた方 ・子どもさんを亡くされた方 ・病気を抱えた方
・定年を迎えた方など、苦悩・悲しみなどを抱えた方が、その課題ごとに集まり、
話し合い、お互いの声を聞き合うような集い、仏事はどうでしょうか。
〇仏前起工式(住居)―大地に謝する
〇仏前新車購入式(湯浅成幸先生)
※各家のお内仏(仏壇)にあらためて、座り直していただき、家族・親戚・友人などご縁の方に寄っていただき、お勤めをする。そこに僧侶をお呼びいただいても、ご自分たちでお参りいただいても良いと思います。手を合わせる場を創ることが大切だと思います。また、後輩たちに、仏法相続(お参りと、仏法聴聞を手渡して)いただくことが願われています。
また、それぞれのお参りを、お寺の本堂にてお勤めいただくこともお勧めです。本堂という非日常空間で、心静かに手を合わせ、お焼香をし、共にお勤めして、少しく自分自身のこと、人生のことなどを振り返る時間として。 ・・・・・・何か想い、お考えなどありましたらお話しください。