鯉のぼり 泳ぐ力は 向かい風

諸行は無常にして ()生滅(しょうめつ)の法なり

生滅 滅し(おわ)れば 寂滅を楽()

                      『涅槃(ねはん)』聖行の章

 

 この『無常()』は人生の要諦をあらわすものとして、

よく知られている。意訳すれば

1,この世のあらゆる現象や事柄は、常に移り変わってとどまるときがない。

2,この移り変わりこそ、この世の無常の真理である。

3,この移り変わりに()らわれれば、苦しみ悩みは果てしなく続くが、

  この執らわれの心に覚醒(かくせい)すれば、執らわれから解放され、

4,自由に生きることができる。

 「いろは」四十七文字が、この四句のこころを歌うものとして

伝えられていることは有名である。

わたしたちの課題は、第三句にある。

そこには(かえ)って無常が積極的意味をもつものとなる。

(こい)のぼり 泳ぐときには 向かい風„  

 

2004年5月2日 

             

前住職        

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