思惟なき民族と国家は滅びる
トインビー
鋭い文明批評を展開したことで著名なイギリスの歴史学者・トインビーのこのことばは、いかにも重い。二十一世紀の課題を思うとき、あらためて「思惟」の一語に釘づけされる。新春に読んだアテネ大学のブドゥリス教授の次のことばは、あたかもその“方向指示記„のようだ。
「科学や技術の知には限界がある。生命科学がいかに進んでも、知りうるのは人間の一部にすぎない。私とは何か、美や正義とは何か。人間の本質にかかわる問題を知るためには、科学とは別の知が必要である」
2001年4月8日