南無阿弥陀仏に あいまいらせんことこそ
ありがたく めでたくそうろう御果報にては
そうろうなれ
親鸞 『書簡』
新年おめでとう、の挨拶をかわす。私は年来、親鸞書簡のこの一節を年頭に思う。
意訳すれば、
「なむあみだぶつに遇(あ)わせていただくことこそ、ありがたく、めでたい幸せでありましょう」となろう。
いまや日本は高齢化社会に入り、しかも世界一の長寿国を誇る。いのちがつねに話題になりながらも、「どれだけ生きるか」の量的ないのちに関心が集中しがちだ。
そこに「どんないのちを生きるか」の質的ないのちが自問されなければ、量的な長寿は単純によろこべない。
親鸞の書簡のことばは、その点を提起しているのだ。
なむあみだぶつは、「幸せの条件と、幸せそのものとは、異質である」ことを告げているからだ。
2002年1月13日