熊田光男さん「社員さんへのメッセージ」より
(2016年2月16日)
社員の皆様へ
第154回芥川賞を受賞した、「死んでいない者」(著:滝口悠生)を読みました。
大往生で他界されたお爺さんの通夜に、親戚や友人などが一堂に会します。
誰もが経験したことがあると思いますが、久しぶりに会う親戚に対して、
「あの子は、○○おばさんの子どもだったっけ?」
「あの子は、誰の弟だったっけ?」
というような流れから小説は始まり、
「死んでいる者」を取り巻く、「死んでいない者」たちのストーリーが繰り広げられます。
登場人物が多すぎて、人物相関図を書かないと分からないくらいですが、
人物やその内容より、
「死」を目の前にして、「生」を考えるというメッセージの作品だったと感じました。
「死」と「生」は、いつも隣り合わせですからね…
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目の前に1枚のコインがあります。
あなたがコインの片面を「こちらが表」と定義するとき
同時に「裏」が生まれます。
あなたが「生」まれたとき
同時に「死」が生まれました。
あなたが何かを「美しい」と思ったとき
同時に「醜い」ものも頭の中に生まれました。
「善–悪」「強–弱」「高–低」 「勝ち–負け」「出逢い–別れ」
それらは別々のものではなく
すべてワンセットであり
互いに支えあっている。
凍える寒さを経験した人は
日差しの暖かさを知っていて
病気を経験した人は
健康への感謝を知っていて
飢えを経験した人は
一膳のご飯の美味しさを知っていて
孤独を経験した人は
絆の大切さを知っている。
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季節の変わり目ですので、多くの告別式の案内が届きます。
「死」を通して、「生」を見つめさせていただく、
貴重な機会だと思っています。