「ものさし」の話

熊田光男さん(2015/09/09)

「社員さんへのメッセージ」より抜粋

 

人は、自分の価値観という「ものさし」で、すべてを測ろうとします。

自分の「ものさし」と比べたら、あの人は格好いい、

あの人はお金持ち、あの人は…

その「ものさし」に合わないと、人は、怒り、嫉妬し、嘆きます。

これを教えてくれたのは、41歳という年齢で、腎臓がんのため他界された、

『子どもたちよ、ありがとう』の著者、平野恵子さんです。

平野さんは、3人の子どもの母であり、

2番目の由紀乃ちゃんは、脳性小児まひを抱えていました。

平野さんは、長女の行く末に絶望感を覚え、

長女とともに命を絶つことも考えていたそうです。

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ところが、ある日のこと、いつものように元気に遊んで帰ってきた長男が、

身動き一つ出来ない妹を抱きしめて、

「お母さん、由紀乃ちゃんはきれいだね。

顔も、手も、足も、お腹だって全部きれいだよ。

由紀乃ちゃんは、お家のみんなの宝物だもんね」

とこう言ったのです。

その一言が、平野さんの心の目を聞かせたのです。

「気づいてみれば、由紀乃ちゃんの人生は、

何と満ち足りた安らぎに溢れていることでしょう。

食べることも、歩くことも、何一つ出来ない身体そのままに、

絶対他力の掌中に抱き込まれ、一点の疑いなくまかせきっている姿は、

美しくまぶしいばかりでした。

抱き上げれば、ニッコリと笑うあなたは、

自分を、このような身体に生み落とした母親に対する恨みもせず、

高熱と発作を繰り返す日々の中で、ただ一身に病気を背負い、

今をけなげに、生き続けているのでした。

由紀乃ちゃん、お母さんがあなたに対して残せる、

たった一つの言葉があるとすれば、

それは『ありがとう』の一言でしかありません。

なぜなら、お母さんの40年の人生が、

真に豊で幸福な人生だったと言いきれるのは、

まったく、由紀乃ちゃんのおかげだったからです」

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平野さんは、「自分の「ものさし」(価値観)では、

由紀乃ちゃんを受け入れるこができなかった。」と言っています。

私は、自分の「ものさし」を捨てることはできません。

しかし、「ものさし」の無い世界もあることを教えてもらうことで、

少し、救われたような気がします…

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