「お盆」に 憶う

 

お盆は、亡くなった方への哀悼、感謝など、「死」と向き合うと同時に、

「生」と向き合う時期だと考えています。

私が見た衝撃的な映画で、

黒沢明監督の「生きる」という作品があります。

市役所で、30年間無欠勤という模範的な役人だった主人公は、

自分が、胃がんであり余命があと少しと宣告されます。

早くに妻に先立たれ、一人息子とも疎遠になっていた彼は、

「自分の人生は、いったいなんだったんだ」、と酒におぼれます。

生きることを見つめ直した彼は、ある事をきっかけに、

本当に、「生きる」という意味を見つけます。

映画の最後のシーンは、

彼が、市民のために奔走し、つくることができた公園のブランコで、

静かに歌を口ずさんでいます。

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<ゴンドラの唄>

いのち短し 恋せよ少女(おとめ)

あかき唇 あせぬ間に

熱き血潮の 冷えぬ間に

明日の月日は ないものを

いのち短し 恋せよ少女

いざ手をとりて かの舟に

いざ燃ゆる頬を 君が頬に

ここには誰れも 来ぬものを

いのち短し 恋せよ少女

波に漂う 舟の様に

君が柔手(やわて)を 我が肩に

ここには人目も 無いものを

いのち短し 恋せよ少女

黒髪の色 褪せぬ間に

心のほのお 消えぬ間に

今日はふたたび 来ぬものを

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今日はふたたび 来ぬものを』

お盆を期に、「生きる」を、

見つめ直したいものですね…

(熊田光男)

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